しゃぶしゃぶ

NEWSとJUMPと嵐

映画『ピンクとグレー』

おおいにネタバレしながら感想を綴って参ります。まだ本編をご覧になられていない方、小説未読の方はご注意下さい。



2016年1月9日、観てきました。
地元での公開は来月だったので、わざわざ隣県まで車走らせて、朝8時に出て夜の8時に帰ってくるという強行軍で、行ってきました。
面白かった!
映画『ピンクとグレー』、面白かった!
ストーリーはだいぶ改変されていたけれど、私はその改変、好きでした。

原作を読んだ時の第一印象は、「若い人が書いた若者の物語」。
「友達の死体をきれいにする話」を書きたかったのだからそりゃあ明るい話にはならないだろうけど、りばちゃんを救う展開にしなかったのが、なんか、若さだなって。特に最終章は、りばちゃんにとって辛いなと…本人は満足してても、だめだそんな終わり方しちゃ…「うまく生きられなかったごっち」と、「うまく生きられないりばちゃん」でもいいから、りばちゃんの物語がちゃんと続いて欲しかった。
りばちゃんはごっちから自立できなかったというのが、りばちゃんが哀れで哀れでしょうがなかった。


映画ではそこが違ったわけですよ!!!
しかもごっちが現れて!現れたことによってホントのりばちゃんの気持ちを引き出したって感じで!!
「おまえ何で死んだん?」
「全然分からんわ」
「こんなん親友とちゃうわ」
最早セリフうろ覚えですけど、このシーンはホントに泣いた!!感極まった!りばちゃん、手放しでわんわん泣いちゃう子ぉやったんや!「何で?」って、「おまえなんなん?」って、ホントはずっとずっと思ってたのかな。でも「親友だから」「俺が一番こいつのこと分かってるから」って、蓋をしてたのかな。そう思わせてくれる展開をありがとう!!!
「62分後の衝撃」という文句でどうなるのかは想像ついていたけれど、衝撃の後にがっつりオリジナルの後日談が展開するとは思わなかった。りばちゃんを救ってくれるとは思わなかった。
監督は東洋経済オンラインのインタビューで「距離をもって見ているんで、逆にエグくなった部分はあったと思う」とおっしゃられていたけれど、確かにエグくなった部分はある、でも同時に優しくなった部分もあった。わたしはその優しさが好きだ。

一番興奮したのは、ごっちからもらったライターを投げ捨て、真っ暗なバックにりばちゃんの「しょーもな!」

これぞ青春映画ーーーーー!!!!!
すごい!一言で!たった一言で『ピンクとグレー』が揺るぎない青春映画になったよ!!!これまでの挫折や葛藤諸々を「しょーもな!」で終わらせられる身軽さ!からのアジカンの疾走感!エンドロールでこんな爽快感に浸れるとは!

映画『ピンクとグレー』で大事なのは、これは裕翔君の初主演映画だということです。
裕翔君の主演映画が親友に飲み込まれるエンドでいいんですか?
ヤダよ!!!!!爽やかな青春映画がいいに決まってる!!シゲアキさんごめんなさい!!

ごっちの裕翔君も、りばちゃんの裕翔君も、カッコよくて綺麗で美しくて夢のような時間だった。
ファレノプシスを歌い上げる裕翔君、冬の土手を自転車で駆け抜ける裕翔君、親友が女友達押し倒してるのにけらけら笑ってる裕翔君、火葬場の煙をじっと見上げる裕翔君、りばちゃんと決別した時、声を震わせていた裕翔君、ベランダで煙草を吸いながら思いつめた表情の裕翔君、スクリーンに映る全てが美しかった。
そして白木蓮吾として劇中で流れたCM、カッコよすぎた!ホントにあーゆー演出のCMが裕翔君にきちゃう!!きてほしい!!見たい!!!

前半は裕翔君の美しさにどっぷり浸かって幸福の頂点だったけど、実はりばちゃんのキャラクターは納得いかなかった。監督は「IQを下げた」っておっしゃっていたけど、いくらなんでも下げすぎじゃないのか…りばちゃんはこんなんじゃない…

でもモノクロの世界になって知る。あれは成瀬の悪意だった。
りばちゃんを馬鹿にしている成瀬が演じるりばちゃんだから、あんなみっともないキャラクターになったんだ。
成瀬と三神というキャラクターが、この映画のエグさだ。なんだこいつらは…りばちゃん、変なのに目をつけられちゃって…なんだかんだ成瀬についていくりばちゃんは、馬鹿だ。一見してまともじゃない三神に流されるりばちゃんは、ホント馬鹿だ。

ベッドシーンについては、これブルー映画かよ、と。
そういうシーンがあるのは知った上で観に行ったんですけど、もっと「きれいなもの」としてみせると思っていた。モロだった。
「ジャニーズっぽくない」を突き進む本気さは、ここまでのことをやり切らないとまわりに伝わらないのだなぁと思った。
映画をこう、構造的には見れないというか、この物語の中でベッドシーンをここまで見せることに、「中島裕翔はここまでできます」という名刺以外に意味があるのか分からない。精神的堕落や挫折から肉体的快楽に転げやすいのは分かるけど、映画として、モロ見せする必要はあったのかな…なんか三神という女性の内面が印象に残るシーンだった…


柳楽君のごっちは、ホント「ラスボス」だった。柳楽君のごっちの説得力によって、前半のごっちは「りばちゃんが演じるごっち」であって、ごっちそのものではないんだって痛感した。りばちゃんに「お前とは暮らせない」と言われた時のごっち、なんだか泣きそうで、声も震えちゃって、何でごっちが傷ついてるの、って、裕翔君の儚さは美しすぎる!ってこっちが泣きそうだったけど、柳楽君のごっちは絶対あんな反応はしてなかったはずだ。あれは「りばちゃんが望むごっち」だった。
「お前分からんわ」て手放しで泣くりばちゃんに、「それでいい」って答えてあげるごっち。
神さまかな!!!?何この人!!?
ごっちばかりを見て、ごっちばかりを追いかけて、何者でもない自分にずっと苛々して、「ごっちのことを一番分かっている自分」に縋ってなんとか自己を作っていたりばちゃんが、訛り全開でごっちに本音をぶつけて、そんなりばちゃんを認めてあげるごっち。
それ生きてる時にやってほしかった!!!でもごっちはそういう人ではない!!


ようやく「自分」を見つけたりばちゃん。
暴力事件が新聞沙汰になって、りばちゃんはこれからどうしていくんだろうかってちょっと思っちゃうけど、普通の人よりしんどい青春を乗り越えて、「しょーもな!」って言えるんだから、りばちゃんはもう大丈夫だなって思える。

裕翔君の初主演映画が希望のあるストーリーで良かった。
裕翔君の美しさと、かっこよさと、可愛さと、全てがおさめられている映画になっていて良かった。
ストーリーの改変は賛否両論あるのだろうけど、この改変は原作へのリスペクトあってこそで、シゲアキさんの言うとおり、愛を感じた。「タイトル借りただけで全然違う作品じゃん!」て憤らざるをえない映像化も増えてる昨今、映画『ピンクとグレー』は、原作とは違うテーマのストーリーにはなっているけれど、原作を壊すことなく、原作とはまた違う世界を見せてくれました。それはとても素敵なことだ。
裕翔君にとっても、シゲアキさんにとっても、とてもいい作品、いいきっかけで、ここからまた二人の活動が広がっていくんだろうって思える。


映画『ピンクとグレー』は、映画として面白いのはもちろん、関わる人たちの関係性も素敵で、映画化を知ってからの1年、追いかけるのがすごく楽しかった。
まだ大ヒット記念挨拶があるし、地元での公開も控えてるけど、公開初日に映画館で鑑賞できて、「この日の為の1年だった」って思った(ピングレの為だけに生きてたわけじゃないけど)。雪道の長時間運転は本当にしんどかったけど、無理をして隣県まで行って良かった。公開初日に鑑賞できてよかった。
映画『ピンクとグレー』、最高でした!!!まだ見てない方には是非観に行って頂きたいし、原作未読の方には是非読んで頂きたい!!!
裕翔君もシゲアキさんも、本当におめでとうございます!!!